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民医連新聞

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酷保(国民健康保険)を社会保障へ(2) 一部負担金減免不承認

不服申請沖縄県を動かす

 「事情があるのに、国保の一部負担金減免を市が不承認にしたのは不当」と申し立てた沖縄協同病院の患者A子さん。裁定は「不承認を取り消す」A子さんの勝利。これは県内で初めて国保法四四条を適用させた事例となり、市や県の国保行政を見直させるきっかけに。

 A子さん(五〇)は六年前にすい臓癌を手術。さらに昨年二月に腎臓癌の手術で、沖縄協同病院に約一カ月 入院。入院費用は貯金や高額医療費貸付制度でまかないましたが、三人の子どものいる母子家庭のA子さんには、その後の通院費用がまかなえません。体力的に 働くこともできず、生活費にも困り、民医連・医療生協など、九つの民主団体でつくる「豊見城の国保をよくする会」のチラシを見て相談に。

 同会の助言で昨年四月、国民健康保険法第四四条にもとづき、市に一部負担金の減免を申請しました。同条には「保 険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、①一部負担金の減額、②一部負担金支 払いの免除、③一部負担金徴収の猶予の三つの措置を採ることができる」とあります。

 しかし豊見城市長は、前例がないことを理由に申請を不承認に。A子さんは八月、市の処分を不服とし県国保審査会に申し立てました。一二月、下りた裁決は「同市の処分は国保法で認められた裁量を逸脱したもので違法」「不承認処分を取り消す」内容でした。

 この決定を受け、豊見城市は「国保の三割負担分を減額または免除する基準の要綱」の策定に踏み切りました。それによると月収入額が生活保護基準費の一一〇%以下では一部負担金が免除に、同一二〇%以下では八割減額に、同一三〇%以下では五割減額となります。

 地元新聞は「県内で初の制度適用」の見出しで大きく取り上げ、「復帰後三一年たってなお、県内の自治体が国保制度を十分に生かしきれていない現状」と批判しました。

 県も他市町村に対して「審査基準を設定し」、市民に「公表するよう」異例の通知を出しました。

 当院は国保の患者が約六割をしめます。生活保護基準ぎりぎりの患者が多く、社会保障制度の活用で苦慮しています。

 今回の事例は、豊見城市の「国保をよくする会」が「国保なんでも相談会」を開き、短期保険証の問題や保険税の減 免などの活動を展開してきた成果でもあります。これを教訓にしようと先日、医事課で石田正夫氏(国保をよくする会事務局長)を講師に学習会を開きました。 今後は国保法四四条を活用し、相談活動を強化しようと申し合わせました。この活動を他の市町村に広げることも課題です。

(沖縄協同病院 与那修)

(民医連新聞 第1313号 2003年8月4日)